山山葵のこと

保存のつもりで

水栽培中
2004年6月撮影

 山わさびを育てるつもりは毛頭なかったのです。
 去年の春、旦那さんの実家から送っていただいた山わさびはあまりに大量で、 瓶詰めの醤油漬けにしておくにも限界があり、それで半分ほど水栽培しておこうということになったのです。
 あくまでもそれは「保存」だったわけです。

 私と旦那さんが山わさびの醤油漬けを毎日せっせと消費している間に、水栽培組は葉をにょきにょきと生やし始めました。
 山わさびは殊のほか生命力が強いのです。

 そして、そうこうしているうちに、6月下旬が近づいてきてしまったのです。
 6月下旬。それは我が家で最もハッピーな時。年に一度のお楽しみ、沖縄旅行の季節。
 約1週間、家を空けるため、水栽培のままにしておくわけにはいきません。水が腐ってしまいます。
 そこでプランターを買い、土に植えて出かけることにしました。
 既に「保存」ではなく「家庭菜園」です。

家庭菜園
2004年6月撮影

全滅の憂き目

 いま思うと、この植え替えが良くなかったのかもしれません。
 土に植えれば今よりもっと元気になると思っていたのですが、元気になるどころか、 日が経つにつれ山わさびは元気をなくしてゆき……
 夏の盛りには、すべてが腐れ果ててしまいました。
 北海道で自生する植物に内地の、殊に昨年(2004年)の猛暑は耐え難いものだったのでしょう。

 息子夫婦のためにと義母がせっせと掘って送ってくれたものを、嫁の私は腐らせてしまったのです。 ごめんなさいごめんなさい。
 ちなみに、腐らせてしまったことは、今もって義母には内緒です。更にごめんなさい。

 全滅した山わさびのプランターは、そのままベランダの片隅に放置されることになりました。

復活――だがしかし

 やがて秋になり、冬が来ました。
 放置したプランターは放置したまま、私は近づきもしませんでした。

見事復活
2005年5月撮影

 そして、陽射が春めいてきたある日、ふとプランターを見ると、雑草とは思えぬ何かが生えているではありませんか。
 それは徐々に葉を茂らせてゆき、5月の時点で右の写真のような状況に。

 そう。この雑草とは思えぬ何かは山わさび。
 昨夏、酷暑のなかで全滅したはずの山わさびは、ずっと水なんかやっていなかったにも関わらず、 その脅威の生命力で見事復活を果たしたのです!
 ブラボー山わさび! 凄いぞ山わさび! もうちょっとしたら引っこ抜いて、美味しくいただいてあげるからね!

 美味しくいただける。
 そう思っていたのです。引っこ抜く日をわくわくして待っていたのです。
 でも。
 ワタクシ、大変なことに気づいてしまったのです。

 それは去年の夏。全滅した山わさびのプランターが軽い腐敗臭を漂わせていた頃のこと。
 山わさびの残骸に湧いたたくさんの小さな虫(コバエ?)に辟易した私は、強力殺虫剤をプランターに大量投下したのです。
 それも顆粒状の「土に浸透した薬剤を植物が吸い上げるので効き目長持ち」ってやつ。
 野菜にも使用できることはできるのですが、回数制限アリで。2回までだそうで。
 まさか復活するなどとは夢にも思っていなかった私は、がんがん使ってしまいました……

 ダメじゃないですか。
 食べたら私まで殺虫されちゃうじゃないですか。とほほほほ。
 そんなわけで、結局我が家の山わさびは、観葉植物と化したのです。

2005.08.23